あなたは、自分のことを有能と思っていないだろうか?
それ自体は悪くはない。
むしろ自信を持つことは良いことだ。
自信を持つことで、あなたの言葉の説得力が増す。
自信を持つことで、周りからの見る目が変わる。
自信を持つことで、心に余裕が出来る。
自信を持つことでポジティブになれるというのは、
最大の利点ではなかろうか。
このポジティブな思考に、一つだけ罠がある。
ポジティブ幻想と言われるものだ。
実は、あなたの身を滅ぼしかねない…
ポジティブ幻想とは?
一言で言うと、強い自己肯定感が引き起こす現実との乖離だ。
自分が有能であると思うことと、
現実を照らし合わせた実力とに大きな差があるということになる。
ジャッキーチェンの映画を見た後、
何の理由もなしに自分が強くなったような気がする。
そんな感覚と似ている。
映画を見た、本を読んだ、結果を出した、
そんな何かの切っ掛けで自信を持つ。
そして、必要以上にポジティブなものの捉え方をしてしまうことを、ポジティブ幻想という。
ポジティブ幻想の危険なところ
別に良いじゃないかと言われそうだが、
ポジティブ幻想には危険が潜んでいる。
それは、他者を蔑む傾向にあること。
自信を持つと、自分が偉くなった気分になる。
同時に、周囲がダメな人間に見えてくる。
成長したのは自分だけで、
周りは誰もあまり進歩していないと思うようになる。
仮に同僚が成果を上げたとする。
仮に友人がテストで良い点を取ったとする。
仮に知人が大きな賞を受賞することになったとする。
ポジティブ幻想に陥っている人の目線で言うと、
「あれは運が良かっただけで実力ではない」
となる。
身に覚えはないだろうか?
あなたも同様のことを他者に対して思ったことが無いだろうか?
もし思ったことがあるなら、
どの時の気持ちを思い出してほしい。
その気持ちは、恐らく嫉妬と言われるものである。
あいつはたまたま結果を出した。
自分なら、もっといい結果を出せた。
ここから次の様な展開に陥りがちになる。
自分が失敗したのは仕方ない。
自分が失敗したのは環境のせい。
自分が失敗したのは相手の理解力が乏しいせい。
実力をもたないまま結果を出してしまうと、
ポジティブ幻想に陥りやすい。
子の場合、努力を蔑ろにしてしまう傾向があるので、
実力を持たないまま自信だけがどんどん大きくなってしまう。
その自信が、他者は全く成長しないという勘違いを産む。
また、失敗した時に責任が自分に向くことはなく、
周囲の人や環境を原因として捉えてしまう。
ポジティブ幻想を止めるには?
一度このポジティブ幻想に陥ると脱却は難しい。
ただ、止める方法をいくつか挙げてみる。
・他者に敬意を払う
・謙虚になる
・努力を惜しまない
自信を持った人が一番回避したがるような内容である。
でも、これが大事でこれがポジティブ幻想を止める方法である。
そのためには、自分よりはるか上を行くようなプロフェッショナルと接することが有効である。
何も同じ会社や同じ業界である必要はない。
リアルである必要もない。
今はSNSを覗けば多くの人とつながることが出来る。
そこで実際に実力で結果を出している人を間近で見ると良い。
注意が必要なのは、SNSはポジティブ幻想に陥っている人が多いこと。
きちんと見極めることが肝心である。
そして、自分のダメな点をキッチリと直視すること。
それが成長する伸びしろのひとつになる。
それが出来ない内は、ポジティブ幻想から脱却しているとは言い難い。
ポジティブであることを否定はしない。
ただ、ポジティブ幻想に陥いることはオススメしない。
それはあなたの成長を阻んでしまうから。