アンケートを実施する目的は何か?
多くの人は
「ユーザーの心理を探るため」
と答えるだろう。
勿論間違いではない。
ただそれは、
適切なタイミングで効果的な質問が展開されたアンケートに限られる。
残念ながら、多くのアンケートがタイミングも質問内容もお粗末。
ユーザーはバカではない。
もう一度言う。
ユーザーはバカではない。
それを理解した上で、正しいアンケート作成の考え方を見て行こう。
アンケートは誰のものか?
アンケートは誰のものだろうか?
もちろん、実施する側のものである。
ここでは、アンケートを実施する側をマーケター、
アンケートを受ける側をユーザーとして話を進める。
マーケターは、自分の売りたい商品をより多くの人に届けられるように、日々ユーザーの心理を探っている。
もしくは、新商品を展開する前に、どのような商品がユーザーに刺さるのかを模索している。
そんな時に便利なのがアンケート。
ネットの普及でアンケートを取る事の敷居が大きく下がった。
ネット上で実施されているアンケートのタイミングを見てみよう。
- 会員登録をするとき
- ギフト券などプレゼントと交換
- 無料動画の再生前や再生後
- メールでの返答依頼
おそらくご自身でも体験したことがあるタイミングばかりだろう。
続いて、質問の内容
- Yes or No
- 選択肢の中から選ぶ
- 記述式
こちらも見た事のある質問の仕方。
これらのタイミングと質問の組み合わせで、
ユーザーの心理を探ろうとしている。
ここで一つ大きな疑問が出てくる。
アンケートはユーザーの心理を探れるか?
答えはYes。
ただ、それ相応の覚悟と時間が必要。
上記のアンケートの問題点は、
マーケターが持っている仮説を基に質問が作られる。
なので、アンケート結果がユーザーの考えを表したものにはならない。
ではどうすればいいのか?
アンケートを実施する適切なタイミング
適切なタイミング、理想のタイミングは以下の2点
- ユーザーとマーケターの間に信頼関係が築かれたタイミング
- ユーザーがアンケートに応える意志表示があるタイミング
ユーザーのほとんどは、マーケターがどんな人物かを知らない。
ユーザーのほとんどは、質問の意図を良く分かっていない。
そんな中で答えるアンケートは、面倒であれなあるほど回答が適当になってしまう。
なので、マーケターがどんな人物で何の為にアンケートを実施するのかを説明する。
自己紹介は何者か分からなかったマーケターとの関係が一つ築き上げられる。
内容説明は、意図か分からなかったアンケートに興味や意味を持たせ、”回答しよう”という姿勢を作り出す。
ただただ、ネット上で無機質にアンケートを展開しても、
ユーザーは疎ましく感じてしまい、最悪マーケター側の印象を悪くしてしまう。
アンケートの効果的な質問
選択肢を設けるという事は、
マーケターがその選択肢の中に自分の意図した答えを置いていることに他ならない。
多くの質問は、マーケターの予想通り回答を引き出そうとしているか、マーケターの答えを追認させるものになっている。
これは、マーケターの考えを反映したものであり、
ユーザーの考えを反映したものではない。
なぜこういった質問になってしまうのか?
それは、ユーザーの反応や結果を解釈するのに、複雑にならないから。
選択肢のあるアンケートを例に挙げてみよう。
A,B,Cと選択肢を設けてしまえば、
それ以外の回答がなされることはない。
そうする事で、解釈をA,B,Cの3種類に留められる。
ユーザーの考えを3種類に留めておくことで、
その後の分析が楽になる。
改めて言うが、
ユーザーはバカではない。
効果的でない質問では、ユーザー心理の深い部分には光を照らせないのだ。
では効果的な質問とはどんなものか?
それは、ユーザーが選択肢に捕らわれず、自由な発想から答えを出せるような質問。
回答したユーザー自身が驚くような、マーケターが想像だにしなかった回答が導かれるような質問。
これが効果的な質問である。
方法としてはZMET調査(Zaltman Metaphor-Elicitation Technique)と呼ばれるものが有名で、重要な思考を掘り起こすために利用される。
対面と言う手間のかかる作業ではあるが、
ネットのアンケート集計では得られない、
貴重なユーザーの本音を聞く事が可能である。
おわりに
適切なタイミングと効果的な質問の間には切っても切れない縁がある。
ユーザーとの信頼関係が築けていない状態で、ユーザーの心理を探るような質問をしても、なかなか良い回答は得られないだろう。
見知らぬ人に質問されても、恐怖心から答えたくないと思うのは、人間としては当然である。
なので、ユーザーとマーケターとの適切なタイミングが必要で、効果的な質問がその威力を発揮するのは、その後になる。
もしあなたが、本当にユーザーの心を探りたいと思っているなら、面倒でありコストもかかるが、適切なアンケートの実施をお勧めする。
逆に、自分の答えがある程度固まっていて、それが正解かどうかを確かめたいなら、ネットで出来る簡単なアンケート調査は、あなたを助けてくれるだろう。